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補償業務管理士 7部門取得への道のり
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目次
1 ITを身につける。
2 全般的な試験対策

3 補償業務管理士試験の対策
3 補償業務管理士試験の対策
研修の主なテキストである「用地取得と補償」を見ると各部門毎に整理されています。ただ、部門毎の分量はかなり差があります。出題範囲は、この分量に比例する印象です。それで全部門目指すのであれば、まず出題範囲が限られた部門を先に受けて合格し、成功体験によって自信を付けた上で、出題範囲が広い部門を目指すことをおすすめします。
●坂はきつくならない
7部門あると、誰しも得意とする分野から取り組みますので、後半の部門は崖に見えてしまいます。でも心配無用です。まず、何度も同じような試験を受けていると、試験勉強が効率的になって、試験慣れしてきます。また、試験官も同じ人間なので、重要なポイントや出そうな個所が読めるようになってきます。だから思いのほか坂はきつくなりませんでした。
●要点整理ノートを作る
土地評価部門要点集表紙 土地評価部門要点集見開き
専門研修で習ったところを自分なりに抜粋した要点整理ノートを作りました。最初は小型のA6サイズの帳面に手書きで書いていましたが、残り3部門目の途中からワープロ版を作りました。ワープロ版は、A4横2段組で打ち込み、プリントアウトした紙を二つ折りにして袋とじすると教科書サイズになります。
ワープロ版は、始業前に会社のパソコンでも打ち込みましたが、主に自宅のパソコンで打ち込みました。図表などはスキャナーで読み込んでワープロに貼り付けるなどしました。
更にこの要点整理ノートから重要な個所を抽出して問題集を作りました。電子データであれば、こんな芸当が出来るので便利です。ある意味、この問題集を作る過程こそが、重要な個所を整理する作業ですから、試験勉強の山場だったと思います。要点整理ノートが出来れば、後はこのノートだけを持ち歩きます。試験当日もこのノートだけを持って、試験会場に向かいました。
●体系的に学ぶ
「土木工学概論」「建築学概論」などは、学校で学んだ方も多いと思いますが、「補償業務概論」を学んで、この業界に入った方は少ないでしょう。私も会社に入るまで、この業界を知りませんでした。若い頃は、目の前の業務に手一杯で補償業務全体を俯瞰する余裕などありません。
受験のために必須である研修は、補償業務を体系的に学ぶ絶好のチャンスです。研修に使用される「用地取得と補償」を見ると、
・「用地事務の標準手続フロー」
・「用地調査等フロー」
・「土地収用法による収用手続フロー」
・「取引事例比較法による土地評価の流れ」
・「消費税等相当額補償の要否判定フロー」
・「事業損失処理手順」などがあります。このテキストにはありませんが
・「建物移転工法のフロー」
・「自動車の保管場所 補償方法の検討フロー」も重要です。
たくさんのフローが記載されているということは、それだけ重要だと言えます。業務の流れを知ることで、断片的な知識がつながってきます。また、芋づる式に効率的に頭に入ってきます。「試験のために仕方なく覚えなければならないのだろうか。」と悲観的に考える必要は全くありません。私は7部門取得してみて、補償業務管理士試験はとても実用的な試験だと思います。習得した知識は、業務において大変役立ちますので、是非、臆せず挑戦してください。
各部門毎の試験対策
各部門毎の勉強のポイントを私なりに解説します。あくまで私の受験記ですので、参考程度にお読み下さい。但し、共通部門は、平成5年に取得したので、今の試験対策に参考になるような対策を持ち合わせておりません。ご了承下さい。
3-1 土地調査部門
測量士補の資格で取得しました。測量士補試験は、薄めの参考書をまずひととりこなして、厚めの問題集(過去問)をどんどんやりました。試験問題の後半1/3は、用地取得の常識問題なので、取り組みやすいと思います。受験申込みは1月中旬〜2月末、試験は5月下旬です。
私は営業補償・特殊補償部門を受けた同じ年に測量士補も取得しました。測量士補の勉強は、1月に少々行って、2月から4月末迄補償業務管理士の試験対策のために中断、その後5月末の測量士補試験まで、実質的には2週間程度集中的に勉強しました。補償業務管理士試験と同時期に、二兎を追っても十分大丈夫だと思います。
3-2 土地評価部門
土地評価は、出題の範囲が広く深いため、どれだけ勉強すれば足りるか不安でした。そのため要点整理ノートは76ページにもなりました。76ページにもなれば、一気に出来上がりません。試験の1ヶ月前は30ページ程度しかできていないので、出来た分だけとじて持ち歩き、3週間前は40ページになって、最終的に出来上がったのは試験の数日前だったと思います。ただ、要点整理ノートができあがったと言うことは、頭の中の整理もできて一通り把握できているので、補償業務管理士の試験対策としては十分かなと思いました。
試験直前には、不動産鑑定士試験の過去問も少々やりました。受験してみると、専門研修で習った範囲の出題が8割でした。
3-3 物件部門
建築士の資格で取ったので、試験は受けていません。ただ、私が受けた他部門から推測すると、「用地取得と補償」のうち、この部門に該当する「建物の補償」「工作物、立竹木の補償」「その他通常損失の補償」で約160ページあり、出題範囲は深く広いだろうと思います。さらに、基本的な調査→図面作成→算定に加えて、法令改善費、アスベスト対策、耐震性を考慮した移転工法案の検討など、実務上の新しい課題が次々に出てきていますので、当然、これらの新しい課題が出題されたとしても不思議ではありません。これだけ豊富な内容を専門研修から試験までの3ヶ月足らずで準備するのは苦労することと思います。構造は木造・非木造と多様、用途も工法も様々と、何せ範囲が広いので、物件部門の実務経験を持っていても、試験範囲の全てに精通している方は少ないでしょうから、試験準備は十分過ぎる位でやっと足りるのではないかと思います。
3-4 機械工作物部門
地方だと、大きな工場を調査することはまれで、業務で経験するのは「木工所」「ガソリンスタンド」などが大半です。テキストに見たこともないような機械が並んでいると、少々勉強の困難さに意気消沈してしまいますが、それは受験者同士で意見交換してみると、皆ほぼ同じでした。専門研修で習ったことをしっかり整理しておけば大丈夫だと思います。
3-5 営業補償・特殊補償部門
ポイントはなんと言っても簿記です。私は、理系の出身なので、実務で営業補償に取り組むにあたり、日商簿記3級と2級を取得しました。実務よりも試験で大いに役立ちました。簿記は理論と併せて、手を動かして問題をこなし、仕訳けや計算に慣れておくとが大切です。
専門研修では、簿記が分かっている前提で、仕訳けの練習問題をいきなりやりますので、簿記を知っていないとあわてることになります。
試験では、専門研修で習った以上のものが出ていました。「仕訳けの間違いを修正する仕訳けをせよ」です。時間をかけてじっくり考えれば解けますが、簿記に慣れていないと、試験時間内で解くことは難しいと思います。学校で簿記を勉強された方は別として、営業補償の実務を十分お持ちの方でも、試験対策として簿記2級までもいりませんが、簿記3級程度の実力を付けておくことをおすすめします。
3-6 事業損失部門
この部門も建築士の資格で取得したので、受験しておりません。
この部門の内容は電波障害、日陰、水枯渇、建物の損傷による事業損失調査、残地及び隣接地工事費等の補償、定型化されていない類型の事業損失に関する補償(家畜、農産物等に対する補償)など、それぞれ性格が異なる奥の深いテーマが並んでいます。
この部門を取得すれば、上記のテーマの専門家となるわけですから、それぞれのテーマについてひととおり説明できるようになる、という視点で学んで頂ければと思います。
3-7 補償関連部門
出題範囲は限られています。取り組みやすい部門だと思います。ポイントは、業務の流れを把握し、どの時点でどんな事を誰が誰に対して行うか、十分に理解しておくことです。「用地取得と補償 第4章 土地収用の概要」に「土地収用法による収用手続フロー」があります。このフローは、単に作業手順を示したものではなく、土地収用法に基づいた手続きですから、順番は厳格に運用されなければなりません。事業認定や裁決申請の業務を普段行っていても、「事業の準備のための立入等」から「代行又は代執行」に至る一連の流れは把握していないものです。このチャンスに全体像をつかみ、それぞれの手続きの内容を十分に勉強をしておけば、試験対策の意味だけでなく将来の実務に必ず役立つと思います。
専門研修では更に、道路計画、河川計画など実務にも役立つ覚えておくべき基本的事項を習います。補償業務から離れた技術的な内容なので、なかなか自分では取り組みにくい分野ですから、研修に組み込まれているのは、ありがたいことだと思います。
3-8 口述試験
まず、胸に手を当てて、「自分は受験する部門の専門家です。」と自信を持って言えるか自問してください。言えれば合格間違い無しです。
口述試験を受けた4部門を振り返ってみて、次のような共通したテーマがあるようです。
試験官は目の前の人物が受験する部門の専門家としてふさわしいかどうかを見ています。口述のポイントは二つあると思います。一つ目、納品時に成果品について説明できるか。二つ目、受験する部門について相談を受けた場合、適切なアドバイスができるか。
この点を考慮して準備していただければ、大丈夫だと思います。
●納品時に成果品について説明できるか
口述試験の受験申込に併せて、業務経歴書を提出します。その内容について試験官から質問があります。まさしく納品時に成果品の内容を起業者に説明するようなシチュエーションです。
・どのようなプロセスで補償額を出したか。
・判断事項についてはどのように考えたか。
・問題点があれば、起業者と、また社内でどのような協議を経て解決したか。
など、的確に答えられなくてはなりません。ですから、できるだけ記憶に残っている新鮮な成果を提出し、試験の前には、成果品だけでなく、打合せ記録簿やバックデータなどにも目を通しておけば万全です。
●相談を受けた場合、適切なアドバイスができるか
例えば、営業補償・特殊補償部門には、鉱業権・採石権補償、漁業補償、農業・立毛・養殖物等の補償が含まれています。営業補償・特殊補償部門の補償業務管理士になれば、この部門の専門家として期待がかかります。ですから、自分が業務で行ったことが無くとも、この部門に含まれる業務については、ひととおり説明ができなくてはなりません。
4月の筆記試験が終わると、勉強したことは忘れ去っているものです。試験の前に、要点整理ノートを見直して専門研修で習ったことを復習し、口述試験で質問されても慌てないようにしておきましょう(実は私も慌てた部類です)。
●口述試験の合格率が高くても十分な準備を
あくまで私の推測ですが、筆記試験の過去問が公表されれば、筆記試験はそこそこの実力でも受験テクニックでカバーできます。ですから口述試験は、「受験する部門の専門家としてふさわしいかどうか」を見るための最終関門ですから、これまで以上に重要になると思います。
口述試験の合格率が高くても十分な準備を。専門家として実力が無いと見なされれば、落ちる人は落ちます。
このように言えるのは、独検での失敗が背景にあります。独検も1次(筆記)試験、2次(口述)試験と進みます。筆記試験を三度目にやっと合格して、口述試験に臨みました。独検の口述試験の合格率は約80%ですので、何とかなるだろうと少々なめてかかったところがあって、みごと落ちました。試験後検証してみると、合格した人との実力差は明らかでした。独検は口述試験に落ちると、再度筆記試験から受け直しなので、ショックは大きかったです。しっかり準備して4度目の試験に臨んだことは言うまでもありません。独検で学習したことは、合格率の高さに関係なく、自分に合格ラインの実力が付いているかどうかが問われるのだ、と言うことです。お陰様で業務関係の資格は順調に取得できましたが、その陰にあった独検の失敗が大いに役立っていると思います。
もし万が一、口述試験に落ちた場合は、次の試験まで1年ありますので、受験する部門の業務を最低でも2〜3案件担当し、経験と実力を身に付けて口述試験に再度臨んでいただければ、合格間違いなしだと思います。
4 千里の道も一歩から
終わってみると、7部門揃っていたという印象です。複数部門をまとめて取るのは大変ですが、1年に1部門ずつなら受験勉強もそれほど負担ではありません。ただ、少々長い道のりですね。世の中にはうさぎと亀の話のように飛び跳ねてどんどん先に行く人もいますが、私みたいに亀の歩みでも成長していく自分を実感できることは、嬉しいものです。
そのうさぎさん向けに、なるべく早く取得したければ、今回より2部門同時受験できるようになったとは、メニューが増えてよかったと思います。
ところで、うさぎと亀の競争はこれで終わったわけではないと思います。2匹が目指した山の背後には広大な自然があり、うさぎは失敗を教訓に、健脚を活かしてもっと高い山を目指すことでしょう。一方亀は、この先地道に進んでもよし、うさぎが渡れないような川を越えて新境地へ向かうなり、沼・湖へ入って得意な場所で頑張ってもよい。要は自分の持ち味を活かして、自分が得意とするフィールドで自分の道を着実に歩めば、おのずと結果はついてくると思います。
7部門揃ったものの、補償業務は奥が深く、まだまだ勉強しなければならない事が沢山あります。今後ともご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします。
このテキストを読まれた方の中には、仕事で忙しく勉強する時間も、運動する余裕もないと嘆いていらっしゃる方も多いと思います。でも大丈夫です。この長い文章を最後まで読んで下さった方は、既に勉強の心構えができている方です。
私はこの4年間ほど継続して勉強し、いろいろ試行錯誤して、やっと書き出せる程度に勉強のスタイルが形になってきました。この受験記が少しでも今後受験される方のお役に立てば幸いです。また、改善すべき点や、もっと良い方法がありましたら、是非ご教示下さい。2008.3.10
知るだけでは不十分
生かさなければ
意思だけでは不十分
実行しなければ             ゲーテ
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