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建築費について | ||
私は一級建築士・住宅性能評価員で、建物の調査・鑑定・評価の仕事を主にしており、住宅の設計はしていません。ですから住宅産業とも無縁ですし、ましてやOMソーラー協会との利害関係もありません。あくまで、OMソーラーハウスの1居住者として、自分が住んでみて大変快適なので、是非多くの方にOMソーラーハウスの良さを知っていただきたいと思い、私のホームページで紹介しています。 また、住宅産業に係わっていないと言うことは、私の見方が、住宅の設計者や工務店から見ると、的外れ・勘違いもあるかもしれません。 |
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建築費は千差万別 | ||
OMソーラーハウスはご存じの通り、製品として完成したエアコンを据え付ける設備工事ようにはいかず、床下のコンクリート打ち、屋根下に空気が流れる通り道を作ったりと建築工事が主体となります。 建築工事費は、千差万別ですが、まず、地域によって異なります。 住宅金融公庫が平成9年度中の融資対象から調査した資料では、全国平均を100(坪単価604,000円)とすると、一番高い東京は123.2、一番安い宮崎は79.8、地元の長崎は90.9となっています。 この数値は、東京は狭小な敷地が多いので、3階建ても多いでしょうし、仮設工事費も割高になっているようです。一方、宮崎は、敷地が広いので、建てやすい(安くつく)と言えます。即ち、同じような敷地に同じような建物を建てた場合の指数ではなく、あくまで実際に公庫を使って建てた住宅の建築費を集計した結果ですので、単純な建築費の地域格差を表した数値ではありませんが、少なくとも、テレビの「渡辺篤史の建もの探訪」で言われる「坪単価○○万円」は、「東京のこの家を自分の地元の長崎で建てると約2から3割引」といった「つかみ」ができるわけです。 つぎに、敷地条件です。新規に造成された住宅団地であればどれもほぼ同じような形状ですが、狭小な土地や細長い土地だと、当然建てられる建物も制約が大きくなり、建築費は割高になります。 例えば、外壁。床面積100uの平家建物を真四角に建てると1辺は10mです。外壁は建物4面ですから延長40m、軒高を2.5mとすると、外壁の面積は100uになります(計算を単純にするため、窓は考慮していません)。一方、敷地が細長くて間口が5mしかとれない場合は、同じ建物でも、奥行きは20mになります。外壁の延長は50m、同じ軒高で外壁の面積は125uになります。つまり、同じ床面積の家でも、25%も多く外壁のコストがかかるわけです。 では、同じ地域で、同じ敷地条件なら、建築費は同じでしょうか? これは、敷地が決定して、建築士に図面を引いてもらい、数社の工務店に見積をしてもらうと、「どうしてこんなに見積額が違うの!」と、ビックリするくらい差がでます。いろいろ要因はあるのでしょうが、この点は私にとっても全くのブラックボックスです。 |
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決定権は工務店にある | ||
ハンドリングボックス等は資材としてOMソーラー協会から工務店へ流れていますので、「卸値」は存在するはずです。しかし、既述ように、OMソーラーハウスは、工務店が施工する建築工事が主体ですので、OMの資材部分が価格に与える影響は小さいと言えます。最終的に、施主は工務店が出す見積で契約するわけですから、OMソーラー協会は価格を統制するような発言をできないと思います。 では、工務店が価格を公表してくれるでしょうか? 工務店を弁護するわけではありませんが、今のところ、これもなかなか難しいと言えます。既述のように、建築費は千差万別で、車のように既にできあがっている工業製品ならいざ知らず、これから作るものの価格を公表することは勇気がいります。他の工務店とのかねあいもありますし、公表した価格が一人歩きする弊害を一番知っているのは工務店だからです。 |
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これから進む情報公開 | ||
技術者の立場で、「金額が載らない」理由を長々と述べてきましたが、そうは言っても、これから建てようとする方にとっては、資金計画もありますし、大まかにどれくらいかかるのか知りたいところでしょう。 「住宅性能表示制度」が国の法律としてできています。これは、「構造の安定、温熱環境(省エネルギーへの配慮)、高齢者等への配慮など、住宅の性能について評価し、住宅取得者に対して住宅の性能に関する信頼性の高い情報を提供するしくみ」です。この制度は任意であり、しかも、この制度だけで住宅の性能が全てわかるわけではありませんが、そのうち、「温熱環境について等級4の建物を○○万円で建てます」といった広告が打たれるようになるでしょう。この先、建築費についていやがうえにも情報公開が進むことは間違いありませんので、一般の方に今よりも比較検討がしやすい時代がすぐやってきます。 |
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「坪単価○○円」の意味合い | ||
住宅を建設するにあたって必要となる費用(総費用)は、大きく分けると (1)建設費…工務店に依頼して支払うもの (2)別途工事…外構、造園、カーテン、家具など (3)諸経費…登記費用、印紙代、地鎮祭、引越、設計監理費、消費税など の三つに分けることができます。このうち、別途工事と諸経費を合わせると、総費用の2割から3割を占めます。 坪単価○○円は、建設費を意味しますので、別途工事と諸経費を計上しておかないと予算オーバーになります。消費税をどこに入れるかとの問題はありますが、今回は諸経費に含めています。 |
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我が家の建築費 | ||
木造2階建ロフト付、延155.34平米(約47坪)の建築費は約3,031万円(上記のとおり税抜き)、坪単価は約64万5千円でした(面積・金額等いずれも鉄筋コンクリート造の地下車庫を除く。 大まかな概算ですが、坪単価はOMをはずすと約61万円、普通の家にすると約50〜55万円になるようです。 ちなみに私の家は、二世帯住宅なので、水回りが多いですし、雨水設備の価格も含まれているため、長崎の相場よりもやや高めの建築費になっています。 OMのコストは見積書によれば約160万円(取付費を除く部材のみの価格)、建築費として先に投資した費用は、燃料費の節約により我が家の場合は32年で元が取れる計算になりました。 なお、私の家は平成10年2月に工務店と工事請負契約をいたしましたが、標準建築費指数[建設工業経営研究会発行]によれば、その後建設工事は約2〜4%下落(地域によって異なる)しておりますので、念のため付け加えます。 |
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普通の住宅 | ||
OMソーラーハウスを考える前に、まず普通の家を考えてみましょう。 普通の家とは、いったいどんな家でしょうか。OMに関係した仕様のみに絞って話を進めるとして、地域によってかなり格差がありますが、長崎では、壁の断熱材が50mm程度の厚さで、ガラスはシングルになります(新省エネルギー基準程度)。この仕様で私の家を建てると、坪50〜55万円位でしょう。 |
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省エネルギー住宅(高気密・高断熱住宅) | ||
普通の家と比較すると、壁の断熱材を倍の100mmにして、ガラスはペア(二重)にします(次世代省エネルギー基準程度)。床下には、断熱材をいれて、土間コンクリートを打ちます。これは、OMソーラーハウスからOMの部材(ハンドリングボックス、制御盤、ダクト、屋根上の集熱ガラス等)を外した状態です。 高気密・高断熱住宅の場合は、換気に配慮する必要がありますので、全館24時間換気システムで、建物内の空気を新鮮な状態に保ちたいものです。また、矢崎総業の「スーパーあっちっち」のような高性能の太陽熱温水器を設置したいところです。これで完璧!ですが、ここまで来ると、費用は我が家のOMソーラーハウスと同じくらいになると思います。 高気密・高断熱住宅は快適です。まず、普通の家と比べて、冷暖房費が半分程度になると言われています。 更に、壁や窓からの冷輻射が少ないので、心地よく感じます。文字では、なかなか心地よさが伝わらずもどかしいのですが、この「寒くない」感じは、普通の家が、「外でたき火をして、火にあたっている手や胸元はとても暖かいが、背中や足元はゾクズクする」感じだとすると、省エネルギー住宅は「サンルームの中でひなたぼっこしている」感じでしょうか。 普通の家だと、冬の寒さを考えるとなかなか踏み切れない吹き抜けの大空間でも、暖房はよく効きます。また、窓を閉めると静かです。雨風の音も気になりませんし、台風の時もぐっすり眠れました。逆に言うと外に音が漏れにくいので、カラオケやピアノの練習も気軽にできます。 このように、高断熱・高気密住宅は、燃料費だけの「金額」では換算できない優れた面があります。今後はこのような住宅が一般的になってくるでしょう。OMソーラーハウスに抵抗がある方も、少なくとも高気密・高断熱住宅になさることを積極的におすすめします。 |
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省エネルギー住宅をOM仕様に変更 | ||
見方を変えて、全館24時間換気システムを、OMのダクトやハンドリングボックスに変えた方が、新鮮な「暖めた」空気を取り入れられるし、床下も積極的に通風して乾燥しますので建物の寿命も延びます。また、空気をどんどん家の中に取り込んでいますので、家自体が「息を吐く」感じになり、高気密にお金をかけ過ぎずに済むと言ったメリットもあります。 「スーパーあっちっち」は、屋根に設置する太陽光発電のパネル2〜4枚分の大きさの集熱器と、電気温水器のような貯湯槽から構成されており、スーパーあっちっちの集熱器を屋根上のガラスとハンドリングボックス内のコイルに置き換えると、これでOMソーラーハウスの給湯システムになります。ちなみに我が家の貯湯槽は、スーパーあっちっちの貯湯槽のOM仕様です。 OMソーラーハウスのことを「鬼に金棒」と言った人がいましたが、高断熱・高気密住宅の「鬼」に、太陽熱の「金棒」を加えたのが、まさしくOMソーラーハウスです。 OMソーラーハウスの良さは体験してみないと分かりません。家は高い買い物ですから、冬の寒い日に泊まってみて、金額に換算できない良さを感じていただけたらと思います。まさに百聞は一見にしかずですね。 |
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普通の家にOMソーラーは付けられないの? | ||
ここまで読まれて、「高気密・高断熱住宅が高ければ、普通の家にOMを付けられないの?」との疑問が出てきそうです。 物理的には付けられますが、せっかく取り入れた太陽の熱がどんどん逃げてしまい、OMの効果を感じられないと思います。ですから、OMソーラーは高気密・高断熱住宅が前提のようです。 |
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