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私が見たドイツ映画 | |||||||||||||||||
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Barbara | ||||||||||||||||||
東ベルリンから来た女 | ||||||||||||||||||
12/独/字幕/ドイツ語版/105分 監督:スティアン・ペツォールト 出演:ニーナ・ホス、ロナルト・ツェアフェルト、ライナー・ボック 解説:東ベルリンからバルト海沿岸の田舎へ左遷させられた女医バルバラが、秘密警察シュタージの監視下、西ドイツへ脱出を決行する日までの同僚医師・患者らとの交流をサスペンスタッチで描く。 2012年ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)受賞、2013年アカデミー賞外国語映画賞ドイツ代表作品。 |
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●日本版のタイトルが見事 いつもお世話になっている「ありちゅん(ありちゅんのブログが開きます)」で紹介があり、「東ベルリン・・・」というタイトルが琴線に触れました。原題の「バルバラ」のままだったら、たぶん見なかったと思います。 ●日本語版スタッフの皆様に感謝 見終わった感想として、ハリウッド映画のような興行は望めない、つまり日本の地上波のゴールデンタイムには放送できそうもない地味な作品でありながら、日本語版をリリースしてくださった日本のスタッフの皆様に深く感謝致します。 ●作品に対する印象 ・1980年当時の東ドイツを知っているか、もしくは当時を体験していなくても「善き人のためのソナタ」などで、秘密警察シュタージの実相を垣間見たかで、全く違うでしょう。この作品を楽しむには当時の時代背景を理解しておくとより楽しめるかなと思います。時代考証はきちんとなされているようですが、よくもまあ当時のものを揃えたものだと驚きます。旧西ドイツマルクの札束が映ったときは懐かしかった。私のツボにばっちりはまった作品でした。 ・クライマックス、少女ステラがトルガウから脱走してバルバラの元へ戻ってくるシーンがあります。私はトルガウを知らず近郊から戻ってきたくらいにしか思わなかったのですが、調べてみるとトルガウはベルリンの遙か南で、トルガウからバルト海沿岸まで約350km。1日40km歩いても9日かかる計算。 ・心を閉ざす女性医師バルバラに対して、男性医師ライザー、少女ステラが誠実・実直に向き合い、そしてだんだんとバルバラが懐柔していく。女性医師バルバラと男性医師ライザーのラブ・ストーリーという見方もできますが、ソープドラマのようにべたべたしないところが私向き。 いずれの俳優さんもとても魅力的に演じていて、シュタージの女性職員を演じたAnette Daugardtアネッテ・ダウガードが一番印象に残りました。この女優さんはアウトバーンコップに2度ゲスト出演していて、舞台女優らしいはっきりした話し方が印象に残っています。今回もこの人しかこの役を演じられないのではと思えるような気迫を感じました。 ところで医師も含めみんなぷかぷかたばこを吸っています。時代ですかね。 ●ロケ地 女性医師バルバラが左遷された場所はバルト海沿岸の田舎という設定ですが、病院などのロケはKirchmöserキルヒモーザーというベルリンの西にあるブランデンブルク市内で行われたようです。 |
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写真DF145-1 | 写真DF145-2 | |||||||||||||||||
この2枚の写真は、バルト海沿岸都市ロストックの郊外で撮影。左写真、木立を抜けるとバルト海。海沿いにはうっそうとした防風林があります。右写真、屋根付き椅子(Strandkorb)が並ぶバルト海の砂浜。沖合に向かって消波のための柵が突き出しています。 映画で女性医師バルバラが、風が吹きすさび木立が揺れ動く未舗装の小道を自転車で走るシーンがあります。まさしく私が散策したような場所。そしてクライマックスで、波打ち際に消波の柵が映っていました。 バルト海は、夏でも海水も風も冷たく、外洋性で波も高いため、荒涼とした印象を受けます。映画でもそんな雰囲気がよく出ていて、追体験しているみたいで感激しました。 ●ドイツ語教材向き 80年代の東ドイツが舞台なので、医療用語を除けば教科書的な話し方がされていて、聞き取りやすくドイツ語教材向き。ドイツ語版DVD(※、独語)でドイツ語字幕が出れば欲しいなと思いましたが、残念ながら英語字幕だけみたい。 日本語字幕はご苦労が感じられる絶妙さ。「フリカッセ」に対して日本語字幕で「クリーム煮」と出たときはうなりました。確かに「フリカッセ」だと説明がいるので、適訳ですね。2013.12.21掲載 |
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上記のようにドイツ語版DVDは、ドイツ・アマゾンのサイトで、字幕について英語しか書いてありませんが、2016年春にドイツの店頭で実物を確認したら「deutsch
für Hörgeschädigte(聴覚障害者のためのドイツ語)」も書いてあり買ってきました。2016.5.15追記。 日本語版を見て以来、2年半ぶりに今度は、「ドイツ語音声+ドイツ語字幕」で見ました。粗筋は頭に残っているし、会話が少なめではっきり話しているので、医療用語をのぞけば、ドイツ語だけでも十分。つまらない映画だと、途中でウトウトしちゃうんですが、この映画は私向き。最後まで一気に見ました。2016.5.22追記。 |
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Seit 11.Feb.2003 Happiness裕之介