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ドイツ映画
#128
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私が見たドイツ映画
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Fast Track: No Limits
ファスト・トラック -ノーリミット-
08/独/字幕/日本語吹替、英語版/96分
監督:アクセル・サンド
出演:アンドリュー・W・ウォーカー、エリン・ケイヒル、アレクシア・バルリエ
解説:ヘルマン・ヨハ・ブランドのカー・アクション映画。ドイツで撮影されているが、出演者も車も国際的。
世界制覇を狙うジャーマン・アクション作品だが、少々力不足
実はCATVの放送をハードディスクに録画していたのですが、英語版だったのでさっさと見るのをあきらめて、そのままにしていたところ、ファンの方から、
シリアスでもコメディーでもないアクション映画なのですが、アメリカ映画のワイルドスピード風の仕上がりになってしまっているのが物足りなさの原因かなと思います。ただこの監督さんならではのアクションも豊富なので、コブラ11風味が出ている所もあるので見ていて飽きません(笑)。
この作品は、日本車が多く出てくる作品ですね。せっかくのドイツ映画なのに、主役がスバルインプレッサとは。最後の強敵も、トヨタスープラで色こそ違いますがハルトムートの愛車(ルーシー)ですし、インプレッサが使えなくなったために使う事となった車もトヨタMRでした。中盤なぜだか日産フェアレディZも登場し、日本車のオンパレードですね(苦笑)。

と、ご丁寧な感想を頂きました。今回の印象は長くなってしまいました。下に行くほどマニアックになります(笑い)。適当なところでご退席下さい。
1.平凡な感想
では、コブラ風味を楽しんでみるか、と全く期待せず暇つぶしに見てみました。ヘルマン・ヨハ率いるアクション・コンセプト社のサイト※(独語)にもTVムービーとして紹介されている、れっきとしたヘルマン・ヨハの流れをくむ作品。
ストリート・レーサーのバトルがメイン。スターターのサインは、ブラジャーぶっちぎりで、車好きな男性「限定」。シナリオは二の次みたい。ネット検索してレビューを読むと、皆さん厳しいですね。TVムービーなので、過大な期待は禁物。最初は私も同じような印象でしたが・・・。
2.マニアックな感想
この作品とアウトバーンコップ(以下「AC」と言う)で直接的な関係は見あたりません。どのページに書くか、と悩んだとき、警官も紛れ込んで若者が違法なレースをやって、自動車修理工場のオーナーが女性で、男二人と女の三角関係・・・と同じような雰囲気だったので、この回に掲載しました。
配役
●刑事のエリック(ジョセフ・ビーティー[英])がシルバーのBMWに乗って犯人の車を追い掛けるシーンは、ゼミルのイメージとダブっちゃうな。
●ピザ配達人マイク(アンドリュー・W・ウォーカー[カナダ])は雰囲気がいいですね。赤いおしゃれなベスパに赤いTシャツ。彼が配達してくれるピザはうまそう。ピザ店の電話の呼び出し音は、ACの警察署と同じでした。
この二人の主人公が散らす火花が軸ですね。それぞれ負い目があり、どちらかが生き残るのか、二人して沈むのか、それとも・・・。
●ガレージの経営者ケイティ(エリン・ケイヒル[米])は、私の趣味。そばかすがかわいい。勝ち気なところがにくいな~。
●セレブなデボラ婦人(アレクシア・バルリエ[仏])は、一瞬第二チーム(スピンオフ版)のスザンナ・フォン・ランディツ役のユリア・スティンスホッフか、と思っちゃいました。セレブな女性って同じような雰囲気なんですかね。
印象
ACではあれだけコケにしているアメ車を持ち上げるし、日本車が続々登場してペインティングには「気信慈」の漢字。輸出を相当意識しているみたい。ACのRTL放送ではなく、他局(ProSieben)のTVムービーなので、ACのカラーはできるだけ消してありますが、ベースは同じですね。ベルリン・ナンバーの車なのでベルリンの設定ようですが、受ける印象は無国籍。訳のわからないビデオを見るより、安心のブランドなのでそこそこ楽しめました。「クラシュ・ライン」、「アクセル」、本作品と続けて英語版を見たので、やっと頭が独語モードから英語モードに切り替わって英語版も抵抗がなくなりました。原語の方が面白いですね。言い回しが放送禁止なのか、日本語版はソフトにしてあって、原語だと笑えるところが笑えなくて少々残念です。
ドイツでホットドック?
後半、悪玉が「何故ドイツへ来たんだ」と問いかけると、マイクが「ビールとホットドックがあるから(日本語版・原語とも同じ)」と答えます。アレ?日本でホットドックと言うと、パンにソーセージを挟んだ物ですよね。今はドイツにもホットドックがあるかもしれないけど、マイクの答えはしっくりきません。手元の英独辞書で「hot dog」を引くと「heißes Würstchen(温かい小型のソーセージ)」とあることから、ホットドックは、単にソーセージを指していると思われます(但しドイツのソーセージは大きいので、小型のソーセージが日本で一般的なサイズ)。Wiki※にも「英語における“hotdog”とはこの種のソーセージそのものを指す単語であり、バンの有無には関係がない。」とあります。だからマイクの答えは「ビールとソーセージがあるから」ですね。これなら納得。私も聞かれたら同じように答えたい・・・ではなく、「美味しいワインとコブラ11に会いたいから(笑い)!」。
パトロールカー
今回、青銀のパトカーが出てきます。ドイツのパトカーは州によって若干異なるものの、それまでの緑白が、2002年頃から緑銀に変わっています。そしてWiki※(独語)によれば、ACの舞台であるノルトライン・ヴェストファーレン州では、2009年から青銀なので、ACに出てくるパトカーもそのうち変わるでしょう。ベルリンでは2010年からになっているので、今作品ではフライングですかね。
ただ個人的には、ACで最初に見た緑白が好きだな~。写真の出典はWiki。ヘッセン州の警察車両。左は緑銀、右は新しい青銀の車両。
Zwei Vans der hessischen Polizei, der linke in alter gruner, der rechte in neuer blauer Farbgebung. de.wikipedia.org Date:21 June 2006/Author:Matti Blume, MB-one
Zwei Vans der hessischen Polizei, der linke in alter gruner, der rechte in neuer blauer Farbgebung.
de.wikipedia.org
Date:21 June 2006/Author:Matti Blume, MB-one
ドイツへ行って自前で撮影してきました。詳しくはロケ地探訪4>4-1 Polizeifahrzeuge 警察車両をご覧下さい。この項2011.8.28追記
Polizeifahrzeuge 警察車両Polizeifahrzeuge 警察車両
3.独断と偏見に満ちた超マニアックな感想
でも、そこでハタと考えたのです。ヘルマン・ヨハは、何本もアクション作品を撮っていて、視聴者の心をつかむにはどんな演出をすればよいか心得ているはず。派手な撃ち合いをやって、車をクラシュさせて、ヘリやボートに追跡劇をさせて、最後は大爆発。ラブストーリーも絡めた先が読めないアッと驚くシナリオを用意すれば、一丁上がり。あとは、視聴者が飽きないように手を変え品を変え、いかに劇画的に演出するか・・・。それが典型的に出ていたのがAC第172話(Unter Feinden, 邦題:最後の潜入捜査)でした。
今作品は、日常生活の延長。一応逃走劇、銃撃戦などもありますが、あえて控えめな印象。ヘルマン・ヨハは、「この作品は、世界の若者へのプレゼントなんです。そして自分自身へのプレゼントでもあります。若い頃、無茶な走りをしていました。いろんなバイトで稼ぎながら、スタントの技術を磨いていたんです。主人公のピザ配達人マイクは、私自身ですね。私は犯罪に手を染めていないし、当然、映画的な演出は入っていますけどね。
最近は、劇画的な派手な演出の映画が多くて、逆に自分の若い頃とダブらせた等身大の若者を描きたいと思いました。車好きな若者は世界中にいます。ジャーマン・アクションで、彼らとファン・トゥ・ドライブ(原文ではFreude am Fahren)の感動を共有したいと考えたのです。」と、いきさつを語ってくれるのでは(全く私の独断と偏見に満ちた想像による作文です。驚かせてゴメンナサイ)。
ACでも、初期の頃は若者のグループが出る回が多くありましたし、腕利きのドライバー(スタント・マン)が銀行強盗の逃走車を運転する(第32話Die letzte Chance、邦題:プロ・ドライバー)ってのもありました。最近は、劇画的に派手になってしまったので、原点に返りたいと思ったのではないかと。
そして、ヘルマン・ヨハ自身の気持ちを出演者に語らせているのではと感じます。例えば中盤、新調したカスタムカーで、ピザ配達人のマイクとデボラ婦人が試験走行へ出掛けます。「レースの勝敗はスピードだけでなく、ハンドル操作と精神力だ」と。
と、分析したものの、私の考え過ぎか。TVムービーだし、単に予算の関係かもね。
世界制覇を狙うソーセージ・アクション?
昔「マカロニ・ウェスタン」という言葉がありました。ハリウッドの俳優などを呼んで、イタリアで作る西部劇をそう呼んでいました。それになぞらえて言うと、今作品は「ジャーマン・アクション」ならぬ「ソーセージ・アクション」・・・。ちょっと長いナー、「ポテト・アクション」か「フランク・アクション」が語呂がいいかな~。一時期はマカロニ・ウエスタンが本場ハリウッドの西部劇をしのぐ勢いがあったように、これからソーセージ・アクションが、ハリウッド作品と同じように世界中に普及することを、ドイツ大好き人間として期待しています。
世界制覇にはまだちょっと力不足の本作品ですが、なんだかんだ言って、印象を書くために10回程度は見ました。これだけたっぷり印象を書けば、見てみようかなと思う人が一人、二人出てくれるかも。それが狙いです(笑い)。長々とした駄文を最後までお読みいただきありがとうございました。2009.12.27
 
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Seit 11.Feb.2003 Happiness裕之介