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第5シーズン 第72話 日本未公開
Schwarze Witwe(直訳:不吉な未亡人)
ジルビア・ファン・デローレ嬢はフランスのインターポール(国際刑事警察機構)で働いている。彼女はゼミルとトムが担当するフランク・シュバルツ殺害事件を援助することになった。この件には、マルセイユの麻薬犯罪組織ホフマン、クランベルクそしてラウブナーらが絡んでいた。4名のギャングは最初申し合わせたように、ドイツの悪名高い「マルセイユの父」に不利な証言をしたらしい。マルセイユの父はそれをかぎつけ、殺し屋を雇ったようだ。シュバルツは最初の犠牲者となった。コブラ11はジルビア嬢と共に、残った3人の麻薬密売人を探し出さなければならない。殺し屋が彼等をやってしまう前に。
捜査を続けるうち、トムはジルビア嬢に恋してしまう。まさか彼女が雇われたプロの殺し屋であるとも気づかずに…。
(独TVandSeriesのサイトを参考にしました)
Darsteller 出演
ゲスト出演のみ紹介●エレン・テン・ダーメ(ジルビア・ファン・デローレ)、ホルカー・ヘロルド(クランベルク)、ローランド・ブッシュ(フランク・シュバルツ)、アンドレ・ハートコッフ(ホフマン)、ゲルマイン・ワグナー(ラウブナー)、ヨナ・ホラ(メラニー・シュバルツ)、クルト・グロックジン(フォズ)
Eindruck 印象
タイトル
タイトルの「黒い未亡人」と、訳した番組との内容が一致しないので訳に不安があります。
又は、比喩的な意味があるかもしれませんが、私のドイツ語能力ではわかりません。
トム恋に落ちる
番組のパターンとして、かなわぬ恋に落ちるトムやゼミルはよくありますが、今回のジルビアことエレン・テン・ダーメはネットで調べてもよくわかりません。あまり有名ではないようです。
ここまでの記事は、番組をまだ見ていない2003.8.10に掲載
これ以下、ドイツ版DVDを見て2008.10.19追記
  上のシナリオは最後の1行がネタバレですね。それを知った上で見ても、十分楽しめます。で、私も今回はほぼ最後まで書いていますので、番組をご覧になってからお読みください。
タイトル
やっぱり「黒い未亡人」は的はずれでした。訳の第一候補は、シュバルツを名字ととらえて「シュバルツ未亡人」。確かにシュバルツさんちの未亡人が出てくるので間違いではありませんが、タイトルに固有名詞をつけるとは考えにくいので、ここはやはり比喩的な意味で「不吉な未亡人」とか「邪悪な未亡人」が適当でしょうね。それで、「不吉な未亡人」に書き換えました。
トムの恋物語
上のシナリオからして成就しない恋だとわかります。番組を見ると、トムがぞっこんなので、少々可哀想だなァ(視聴者にそう思わせるところが番組のミソなのでしょう。しっかり乗せられました)。
中盤、トムが怪我します。ジルビアが見てあげる、とホテルの部屋へ。トムがジルビアの後姿を見て、「警官じゃないみたいだ」と言うと、ジルビアの表情が厳しくなります(そりぁ、そうだ。本当はプロの殺し屋だから)。ジルビアが「では、何に見える」と問いかけると、トムは暫く考えて「天使だ(ご馳走様で~す)。」 お楽しみの二人とは逆に、音楽は不穏な空気を表しています。
クライマックス、アンドレアが国境警備担当者から受けた電話で、この女が死体で見つかった知らせがはいります。アンドレアは、こんな辛い知らせをトムには伝えきれない。それを隊長が警察無線で、ゼミルの覆面パトで移動中の二人に伝えます。ショックを受けるトム。麻薬密売人の最後のひとり、ラウブナーのワインセラーへ行くと、そこには死んだはずの女が! トムは更にアンドレアから警察無線で、この女の正体を知るわけです。最後の最後、トムの腕の中で、この女が「天使だと言ってくれたわよね。」と言います。感動のラスト・シーンでした。
アクションシーン
冒頭、運転席からの映像は、自分がアウトバーンを爆走しているみたいでスリル満点。中盤、バイクで逃げる麻薬密売人ホフマンを、ゼミルらが追いかけます。ホフマンは髪が薄いのに、時々ふさふさになります。面白いですね~。まだまだ若い主人公二人の体を張ったアクションが見もの。仕事とは言え、頑張りますね。
 
ワイン雑記
クライマックスは、いかにもドイツらしい風景のぶどう畑でアクション。場所は、シュバルツ未亡人が「ミュラーハイム」だと言っています。ネット検索しましたがヒットしないので架空の場所でしょうか。
写真1は、私が訪れたライン川支流のモーゼル川のベルンカステル。古い町並みのこぢんまりとした美しい町です。川の両側の傾斜地にブドウ畑が延々と続きます。
ライン川も両岸の丘陵地にブドウ畑が広がっています。ただ、ローレライに代表されるように、観光地化しています。どこでもそうですが、田舎へ行けば行くほどドイツらしさが残っているものの、逆に英語はだんだん通じなくなります。ベルンカステルでの出来事。レストランのテラスで、ウエイトレスが注文を取りに来るのを待っていました。周りの席にはウエイトレスが来るのに、私が「ドイツ語」で呼んでも、私の席だけなかなか来ません。ベルンカステルは、モーゼル川沿いの町の中でも観光地化されている方ですが、ウエイトレスから見ると、怪しげな東洋人の席は近寄り難かったのでしょうね。
私のお気に入りフランケン・ワイン
ドイツ語の教授は、授業中よく脱線してワインの話をされていました。当時「へー、ドイツへ行ったらワイン好きになるのかな」と思っていました。自分がドイツへ行ってみると、やっぱりワイン好きになって帰って来ました(笑い)。21、2才の頃にドイツへ行きましたので、まだ酒の味なんてよく分かりません。だから、ドイツへ行って初めてワインを本格的に飲んで味を覚えました。それが写真2のフランケン・ワイン。コクのある辛口の白ワインです。帰国していろいろなワインを飲みました。日本にもおいしいワインが沢山あるし、輸入品も沢山あります。良いとか悪いとか別にして、私の原体験となったこのフランケン・ワインの味がどうしても忘れられません。このフランケン・ワインは、もともと生産量が限られ、輸出に回せる量が少ないらしく、日本の輸入量が少ない上に、私のようなサラリーマンにとって日常的に飲むには高すぎ。そこで今は、ドイツの醸造元にダース単位で直接注文して日本へ送ってもらっています。運賃を加算しても、レートにもよりますが、日本で買う金額の半値程度。
私が卒業する前、本州の大学へ移られた教授を、数年前フランケン・ワイン持参で訪ねました。数十年ぶりにお会いしましたが、ワイン談義で大いに盛り上がったことは言うまでもありません。
ワイン・グラス
ドイツの伝統的なワイン・グラスと言えば写真3。握る部分がギザギザになっています。なぜ、ギザギザになっているか。ドイツと言えば、ソーセージ。その昔、ソーセージを手づかみで頬張りながら、油でぎとぎとになった手でワイングラスを持ったときに、グラスが滑り落ちないようにとの理由らしい。今や、ナイフとフォークでスマートに食べるのが一般的。だからギザギザも不要なんでしょうけど、特徴あるデザインは捨てがたいですね。
写真4は、観光みやげ用のコップ。土産屋で買ったり、醸造元を訪ねると試飲用にもらえたりします。写真では大きさが分かりませんが、高さ7~10cm、容量0.1リットル程度(しっかり0.1リットルの線が入っているコップも)
ベルンカステル
写真1 Bernkastel ベルンカステル
写真2 フランケン・ワイン ボックスボイテルと呼ばれる緑色の丸みを帯びた瓶が特徴。
現地価格 7.65ユーロ(税抜き)
ドイツ伝統のワイン・グラス
写真3 ドイツ伝統のワイン・グラス
新婚旅行のときに買ってきました。
お土産用コップ
写真4 お土産用コップ
左から、Worms Dom、Frankfurt a.M.、Schloß Neuschwanstein、Heuholzer Dachsteiger、Schloß Heidelberg
  Der Engel(天使)ドイツ語学習者向けの記事
最初、トムがジルビアにひとこと言う「Engel(天使)」を何度聞いても聞き取れませんでした。発音は「エンゲル係数」と同じ「エンゲル」。それが、ラストシーンで「Du hast doch gesagt, dass ich eine Engen bin.(天使だと言ってくれたわよね。)」を聞いて、感動のシーンであると共に、そうか!Engelか。もう一度巻き戻して聞くと確かにEngelと聞こえます。人間って不思議ですね。自分では意識しなくとも、次に発せられる言葉を予測しながら聞いているのでしょうね。日本でもいきなり一言だけ言われると「え!何て言った?」と聞き直すことがありますから。
ところで、Engelは男性名詞だからeineを付けると文法的に間違い。聞き取りに自信はありませんが、eine Engelと言ってるみたい。彼女が言っているので、女性名詞扱いで話していたとしても不思議ではないと思うのですが、いかがでしょう。
ゲーテも愛したフランケン・ワイン
写真2のワインは、WürzburgのBürgerspitalのもの。この記事を書くにあたり、改めて同社のワイン・リストを見ていたら、最後にゲーテの言葉が書いてありました。
〟Schick mir doch einige Würzburger; denn kein anderer Wein will mir schmecken, und ich bin verdrüßlich, wenn mir mein gewohnter Lieblingstrank abgeht! Johann Wolfgang von Goethe〝
(ヴュルツブルク(のワイン)を数本送ってくれ給え。我が輩に合うおいしいワインは他にない。加えて、飲み慣れた大好物の酒が無くて辛いのだ。)
拙訳で恐縮です。ゲーテの原文は無駄が無く、声に出して読むと心地よい響きで、するすると頭に入ってきます。恐れ多くも、ドイツの文豪の名文に私のような者が訳をつけてよいものか、気が引けます。ただ少なくとも、原文の意味は分かってもらえると思います。私もゲーテと全く同感です。2008.10.19
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Seit 11.Feb.2003 Happiness裕之介