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アウトバーンコップ | ||||||||||||||||
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第22シーズンテレビムービー 日本未公開 | |||||||||||||||||
Jenseits von Eden(直訳:エデンを超えて) | |||||||||||||||||
ゼミルとアンドレアの2度目の結婚式の前に、旧東ドイツ(以下「DDR」という)の残党が事件を起こす。 | |||||||||||||||||
Episodebeschreibung シナリオ | |||||||||||||||||
新シーズンは、ロマンチックなTVムービー「エデンを超えて」からスタート。内容はゼミルとアンドレアが結婚するまでの無軌道なアクションだ。しかし2回目の結婚式は、若い頃と異なり、小規模、家族的、地味。式は、結婚立会人のパウルとダナが仕切る。計画ではロマンチックな結婚式だったはずなのに。 婚礼前夜に不幸が起きる。花嫁の父が、DDRの軍服を着た男らに誘拐される。これは結婚式の演出ではない! ゼミルとパウルは即座にエンジン全開。明日の結婚式までに父を無傷で連れ戻す必要があり、ピンクのストレッチ・リムジンで追跡する。そして拉致の黒幕を捜査する過程で、事件は想像以上に複雑化。DDRの保有金20トンにたどり着くが、再びDDRの兵士が立ちはだかる。 ドイツ全土に対する脅威を避けるには、高速警察隊のチーム力を結集するしかない。そしてゼミルは結婚祭壇の前に予定どおり立てるだろうか。(www.rtl.deを参考にしました)2017.9.16掲載。 |
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Darsteller 出演 | |||||||||||||||||
ゲスト出演のみ紹介●①マルティン・ブラムバッハ(ロニー・ドュビンスキー)、②ホルスト=ギュンター・マルクス(首謀者ウヴェ・ヴェルニッケ)、③リューディガー・ヨスヴィッヒ(アンドレアの父ハンス・フーベルト・シェーファー)、④クリスティーネ・シュミット=シャラー(アンドレアの母マルゴット・シェーファー)、⑤ミヒャエル・シュペヒト(アンドレアの幼なじみティモ・グレーバー) ⑥サラ・マリアベスゲン(ヤニーネ)、⑦ニノ・デ・アンジェロ(本人) |
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Eindruck 印象 | |||||||||||||||||
インターネットでドイツ語版を見た印象 | |||||||||||||||||
オスタルギー(注1)が私のツボにガッツリハマった! この番組の「ウリ」は、ど派手なカー・アクションとボディ・アクション。それが今回、その二つがかすむくらい、オスタルギーの表面しか知らない私でもシナリオと音楽がツボにガッツリハマリました。アクションには一切言及せず、いつも以上に自己満足な印象を書いていますので、あらかじめご了承ください。 いまさらDDRの組織的な残党などありえず、荒唐無稽だと分かっていても、ぐいぐい番組に引き込まれてしまいました。 注1:DDRが存在した時代、および当時の事物への郷愁。 |
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1.ゲスト出演 ベルリンの壁が落ちてドイツ再統一後、Ossiオッシー(東ドイツ人)、Wessiヴェッシー(西ドイツ人)と、互いを揶揄する言葉が生まれました。番組でも話されています。 調べたところ上の「出演」に掲載したゲスト出演者のうち①~⑤まではDDR出身。つまり正真正銘オッシーがオッシーを演じています。アンドレアもDDRのドレスデン出身だと話されているし、演じるカリーナ・ヴィーゼもドレスデン出身なので、徹底したこだわり。 2.シナリオの補足(その1) ●南米チリ、ヴェルニッケがホーネッカー(注2)の墓からシュレッダーにかけられた書類を取り出す。書類を1枚に復元すると、金の延棒の移送を知るものとして、アンドレアの父ハンス・フーベルト・シェーファーの名前があった。 ●チリ・アタカマ砂漠。ロニー・ドュビンスキーが主宰するヨガが行われている。そこへヴェルニッケがヘリで現れ、「故郷へ帰るぞ、同志(注3)」と呼びかけると、ドュビンスキーらはちりぢりに逃げる。音楽(1) ドュビンスキーに刺さった矢の羽はドイツ国旗と同じ三色でした。芸が細かいな~。 ●ヴェルニッケが、DDR地域だったブランデンブルク旧空軍基地にいる同志に電話をかける。「発見したぞ。取り戻すために帰る。」音楽(2) ●パウルの住まい。第300話の翌朝。身支度するダナに、パウルは「どうしてそこにいるんだ」と。 パウルは全く覚えていないようですね。予定ではゼミル家族と結婚立会人とで夕食に行くだけになっていたらしく、ダナはアンドレアの両親と一緒になって、こっそり素晴らしいプレゼントを用意。 ●ブランデンブルク旧空軍基地。拉致されたドュビンスキーが「俺はヨガ講師で、俳優じゃない。こんなメッセージを短時間じゃ覚えきれない。」と。 ベージュのスーツはホーネッカーを意識してますね。 ●ゼミルらはピンクのリムジンで移動。音楽(3) 高級ホテルに到着したら「国賓」並の扱いに驚くゼミルら。ダナとアンドレアの両親の演出らしい。 ロケ地は、ケルンの南約60kmにあるSteigenberger Grandhotel Bad Neuenahr。高級すぎて私には縁がなさそう。注1 ●アンドレアの父ハンスが誘拐される。演出じゃないと気づいたゼミルらは、ピンクのリムジンで追跡。無事父ハンスを連れ戻し病院へ。 ●病室で。ゼミルは義理の父ハンスに「ボンのDDR外交部で外交官だったよな。なぜDDRの軍服を着た連中に狙われるんだ。」と問いただします。パウルは「昔の事だ、ホテルへ戻ろうぜ。」と。父ハンスは痛みが心配なので病院に留まると。 義父ハンスの携帯が鳴る。通話先の男は義父を「警察の陰に隠れるなんて愚かだ。もう遠慮しないぞ。新婦に死んで欲しいか。」と脅す。 (中略) ●コブラ11は、父ハンスの邸宅の地下で、アンドレアのアルバムを見つける。そこには、アンドレア、幼なじみのティモ(第294話参照)、ロニー・ドュビンスキーの3人が写っている写真があった。 ゼミルによれば、ロニーは、(ベルリン)シェーネフェルト空港で誘拐されそうになり、騒動Radau)になったらしい。 それでゼミルは、ドレスデンにいるティモに電話をかける。ロニーが事件に巻き込まれている。 ティモ:ロニーはベルリンの壁崩壊後、チリへ移住した。帰国したか。 ゼミルは事情を聞くだけのつもりが、話しの流れで明日結婚することを口走ってしまい、ティモが駆けつけることに。 (中略) ●ホテルのサウナ室で。ティモがコブラ11に説明。ロニー・ドュビンスキーはホーネッカーの隠し子だと。 まだまだ謎は残っていますが、このあたりまででご勘弁ください。 注2:DDRの事実上最後の指導者。壁の崩壊直前に失脚し(1989)、ドイツ再統一後リチへ亡命。1994年81才で亡くなる。前妻と一女、後妻と一女をもうけた。 注3:Genosse同志は、DDR独自の言い回し。 太字・斜字は2021.5.30追記 |
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3.音楽 (1)DDR-Auferstanden aus Ruinen DDR国歌「廃墟からの復活」 冒頭、いきなりこれが流れた時は驚きました。まさか今の時代にこの番組で。 (2)Nino De Angelo Jenseits von Eden(1983) 冒頭(1)の次、太陽をバックにヘリが「東の故郷へ向けて」飛ぶシーン。今話のタイトル「Jenseits von Eden」と同じ曲が流れます。ニノ・デ・アンジェロの大ヒット曲。クライマックスにも本人が出演して歌います。 YouTubeのオリジナルNino De Angelo Jenseits von Eden 1983(※、独語) (3)Helene Fischer Atemlos durch die Nacht(2013) ピンクのリムジンで、ゼミルの娘がノリノリで歌います。ドイツの歌姫と言われるヘレーネ・フィッシャーのヒット曲「一晩中、息ができなくて」。 恐らくドイツ語圏在住者なら知らない人はいない曲で、私も大好き。こちらのサイト「人気歌手ヘレナ・フィッシャーは、実は演歌歌手だった(※、日本語)」にある、巡回中の警官がノリノリになる動画が面白い。 (4)Nena 99 Luftballons(1983) Kapitel 2の17分過ぎ、ホールにアンドレアとゼミルが乱入。白い風船が飾られたホールには日本でもヒットしたネーナの「ロックバルーンは99」が流れていました。これもヒット当時歌詞を覚えて口ずさんでいました。 別のドラマでもDDR国内の個人的なパーティーのシーンで流れていたので、オッシーにも馴染みのはず。 (5)Marianne Rosenberg Er gehört zu mir(1975) Kapitel 3の6分半頃、アンドレアとティモがこの曲をバックに楽しそうに踊ります。私も大好きで歌詞を覚えた曲なので歌ってしまいました。曲の途中で切れた後に続く歌詞は「Er gehört zu mir(彼は私のもの)」。彼とはゼミルだろうけど、踊っている相手はティモ。 他にも聞き覚えのあるドイツの歌謡曲等が流れていました。私が曲名まで知っていたのは以上5曲。ちなみに番組で流れた結婚行進曲の作者メンデルスゾーンもドイツ出身ですね。 4.タイトルJenseits von Edenについて Jenseitsをどう訳すか。誰か曲のタイトルを訳していないかなとネット検索してみましたが、確たるものを見つけきれません。歌詞は抽象的で私の語学力では苦労しますが「隣の芝生をうらやむのではなく、身近に幸せはある。」という意図を感じるので、番組のタイトルも「エデンを超えて」としてみました。ところで「East of Edenエデンの東(1955 米)」という映画がありました。驚いたことにドイツでは「Jenseits von Eden」というタイトルになっています。だから今話のタイトルも「エデンの東」でよいかも。「東Ost」には東部諸州、社会主義陣営という意味があるので、タイトルは「オスタルギー」を暗示しているのかも。 5.DDRの硬貨 今回は文字ばかりの記事になってしまい、つまらないので、最後に手持ちのオスタルギーを感じるDDRの硬貨を紹介します。 |
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上の段が数字が書いてある面、下の段がDDRを象徴するコンパスが描かれている面。 左から5マルク、1マルク、50ペニヒ、20ペニヒ、5ペニヒ、1ペニヒ。50ペニヒが100円玉とほぼ同じ大きさ。 1マルク、50ペニヒ、5ペニヒ、1ペニヒは1円玉と同じアルミなのでとても軽いです。 1982年当時西ドイツ・マルクは1マルク=100ペニヒ=100円くらいでした。西側市場では西ドイツ・マルクに対し東ドイツ・マルクが安く手に入るものの、DDR内では正式に1対1の為替レートで、個人的に東ベルリンに入るときは、1人最低6.5西ドイツ・マルクを東のマルクに強制交換させられました。使い残しても再交換不可だったので、こうやって記念に残しています。2017.9.24掲載、7.26最終更新。 |
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注1:2018年春、シュタイゲンベルガー・グランドホテルがあるバート・ノイェンアール=アールヴァイラーへ行きました。ロケ地探訪第八弾その1>81-6 シュタイゲンベルガー・グランドホテル・バート・ノイェンアール。同地は温泉とカジノで賑わう保養地で、四つ星の同ホテルは、値段がこなれていて、いずれ泊まってみたい。2018.6.17追記 | |||||||||||||||||
2021.5.27 TVnow(※、独語)で独語字幕付きを見た印象 | |||||||||||||||||
1.改めてタイトルのJenseits von Edenについて この調布南キリスト教会のエデンの東、ノデの地(※)を読んで、今話のタイトルについて自分なりの解釈をすると、Edenエデンが「現代のドイツ連邦共和国」で、Jenseits vonその彼方。 彼方は今回DDRのイメージだし、タイトルはやっぱり「エデンの東」としてもよかったもよう。 この番組でDDR(デー・デー・エル、旧東ドイツ)やBRD(ベー・アー・デー、旧西ドイツ)という単語を聞くとは思いもよらず。20世紀のDDRの残党が現代のドイツにタイムスリップして現れる夢物語ですね。 Kapitel2の5分過ぎ、ゼミルから電話を受けたティモが「電話は危ない。Stasi, NSA, KGB, BNDから盗聴されているかも。明日行く。」と答えます。 今更消滅したStasi(旧東ドイツ秘密警察)、KGB(ソ連の秘密警察)を持ち出すなんて、笑いを取る確信犯ですね。DDRネタで私でも笑えるシーンが多かったので、きっとドイツ人はたっぷりのオスタルギーで抱腹絶倒だったことでしょう。 例えばKapitel3の4分、ロニー・ドュビンスキーが台の上で「Vorwärts immer, rückwärts nimmer!(常に前進し、決して後退しない)」と声を上げます。調べるとこれは、ホーネッカー(上記注2)のスローガンで、ある年齢以上のオッシーなら馴染みの標語らしい。 2.シナリオの補足(その2) 独語字幕が出る最高の語学教材だ! うかつにもこれまで独語字幕が出るとは知らず。先週見た第346話他で初めて気づきました。しかも10秒前に戻れるので、読み取りが難しい箇所は繰り返し視聴できます。ただシーンによってはネイティブも読み取れないのではと思えるほど、字幕は早く消え去ります。 ところで独語字幕は、同時配信の第21シーズンTVmovieでは出ないので、第22シーズンからかな。 それで字幕を読み取った追記は、ページ上部の「シナリオの補足(その1)」に太字・斜字で加筆しました。 3.音楽 Immer im Grenzbereich(2017) 常に限界に挑む ニノ・デ・アンジェロ Kapitel2の6分40秒、コブラ11がベンツのオープンカーを借用するシーンに流れる曲。実は2017年の初回放送時、初めて聞く曲でした。ノリノリでいいなと思って検索しましたが訪ね当たらず。今回字幕で曲名が判明。声が若かったのでニノの若いときの曲だろうかと思ったら、アルバム「Liebe für immer(2017)」に収められた新曲だったんですね。オフィシャルビデオ(※、独語)。 4.ロケ地探訪 レーツ(ブランケンハイム)の旧NATOナイキ・ミサイル基地 Ehemalige Nike-Raketenstellung der Nato in Reetz(Blankenheim) 第294話をネット配信の日本語版で見た2020年1月に「確保」。今話のDDR残党の基地(旧東ドイツエリアにあるとの設定)もココのもよう。ケルンの南にあるこのロケ地については第294話参照。 今は廃墟らしく、邪魔が入らないのでロケ地としては理想的でしょう。あくまで想像ですが卵と鶏の関係で「この基地跡を使った面白いシナリオを作ろう。」と、ロケ地ありきでシナリオが作成されたような印象を受けます。 5.今話のドイツ語 Apokalypse ヨハネの黙示録 Kapitel2の4分24秒 アンドレアの実家の地下室でゼミルが口走ります。私の語学力では聞き取り不可能。独語字幕に助けられました。 Rückkehr der Jedi-Ritter ジェダイの帰還 これも聞き取り不可能。同じシーンの字幕で判明。「スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還 Star Wars: Episode VI Return of the Jedi」の独語タイトル。 6.雑感 今回再放送を独語字幕で見ました。一時停止しながら、独語字幕を丁寧に読んだので、1週間の無料放送は、前半を見終えたところで時間切れ。 旧東ドイツの味付けたっぷりで個人的にはお気に入りの1本。また再放送があれば、今度は後半をじっくり見たい。 番組を見つつ、バックグラウンドをいろいろネット検索しました。つくづく現地を訪ねたい欲望にかられます。すでに2年以上おあずけなのでドイツが恋しい。来春のドイツ行き航空券は予約済み。コロナパンデミックの収束を願うばかりです。2021.6.6掲載。 |
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Seit 11.Feb.2003 Happiness裕之介